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「超電導送電:電力ロスを抑える次世代送電技術」
みずほ情報総研 2013年04月16日
http://www.mizuho-ir.co.jp/publication/contribution/2013/economist130416.html
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みずほ情報総研 サイエンスソリューション部 シニアコンサルタント 石原 範之
東日本大震災後、電力需給の逼迫から省電力への取り組みが課題となる中、送電ロスの低減に効果を発揮すると期待されているのが、電気抵抗がゼロになる「超電導」現象を利用した送電技術だ。今、日本の企業や大学で、実用化へ向けた開発が加速している。
・送電ロスが半減
超電導とは、特定の金属や合金(超電導体)を超低温に冷却すると電気抵抗がゼロになる現象だ。1911年に超電導が発見されてから100年以上たつが、そ
の産業応用は医療用のMRI(磁気共鳴画像化装置)など一部に限られていた。超電導体で送電ケーブルを作り、電気抵抗による損失なく電気を送る「超電導送
電」も、構想はあったが長らく実用化の目途がつかなかった。
というのも、超電導状態を作り出すには、超電導体を絶対零度(セ氏マイナス273.15度)近くまで冷却しなければならず、冷却に高価な液体ヘリウムを必要としたこともあり、技術・コストの両面で高いハードルがあったからだ。
しかし、近年、比較的高い温度で超電導状態になる「高温超電導体」(特定のレアメタルやレアアースを含む合金など)が開発されたことで、超電導送電の実用化が近づいた。
高温超電導体は数種類あり、それぞれ超電導状態になる温度は異なるが、レアメタルのビスマス系超電導体の場合、セ氏マイナス160度程度と従来の超電導体 よりも大幅に高い温度で超電導状態になる。このため、冷却には比較的安価な液体窒素(セ氏マイナス196度)が使用できる。さらに超電導ケーブルの製造技 術も進化し、冷却コストが大幅に下がった。
現在、電力会社やメーカーを中心に超電導送電の開発が進められている。
住友電気工業は超電導送電ケーブルの開発に取り組んでいる。同社の超電導交流ケーブルは、直径15センチの断熱管に超電導素材でできた3本の芯線(超電導 体)を通し、その周りに冷却用の液体窒素を循環させる構造だ。液体窒素は冷却ポンプで送り込む。ケーブルの距離が伸びれば液体窒素の量も増え、長距離とも なれば、一定の間隔でポンプを備えた冷却基地が必要になる。
通常の送電に交流と直流があるように、超電導送電にも交流と直流がある。日本の送電網の大部分は交流であるため、超電導送電の開発も交流がメーンになっている。メリットはケーブルを除いて既存の送変電設備をそのまま使える点だ。
超電導交流送電の実用化への取り組みで先行しているのが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトの一環で開発を行っている住友電 工、東京電力、前川製作所だ。3社は共同で東京電力旭変電所(横浜市)に約240メートルの超電導ケーブルを設置、2012年10月から電力系統に連系 し、一般家庭に送電する実証実験を行っている。1年程度をかけ性能を確認する計画だ。
同変電所では60万キロワット(約150万世帯分)の電気を送っているが、このうち、20万キロワット(約50万世帯分)を超電導送電に充てる。これにより冷却に使う電力を差し引いても、従来の送電線に比べ電力の損失を約50%低減できる可能性がある。
・究極の「超伝導直流」
というのも、超電導状態を作り出すには、超電導体を絶対零度(セ氏マイナス273.15度)近くまで冷却しなければならず、冷却に高価な液体ヘリウムを必要としたこともあり、技術・コストの両面で高いハードルがあったからだ。
しかし、近年、比較的高い温度で超電導状態になる「高温超電導体」(特定のレアメタルやレアアースを含む合金など)が開発されたことで、超電導送電の実用化が近づいた。
高温超電導体は数種類あり、それぞれ超電導状態になる温度は異なるが、レアメタルのビスマス系超電導体の場合、セ氏マイナス160度程度と従来の超電導体 よりも大幅に高い温度で超電導状態になる。このため、冷却には比較的安価な液体窒素(セ氏マイナス196度)が使用できる。さらに超電導ケーブルの製造技 術も進化し、冷却コストが大幅に下がった。
現在、電力会社やメーカーを中心に超電導送電の開発が進められている。
住友電気工業は超電導送電ケーブルの開発に取り組んでいる。同社の超電導交流ケーブルは、直径15センチの断熱管に超電導素材でできた3本の芯線(超電導 体)を通し、その周りに冷却用の液体窒素を循環させる構造だ。液体窒素は冷却ポンプで送り込む。ケーブルの距離が伸びれば液体窒素の量も増え、長距離とも なれば、一定の間隔でポンプを備えた冷却基地が必要になる。
通常の送電に交流と直流があるように、超電導送電にも交流と直流がある。日本の送電網の大部分は交流であるため、超電導送電の開発も交流がメーンになっている。メリットはケーブルを除いて既存の送変電設備をそのまま使える点だ。
超電導交流送電の実用化への取り組みで先行しているのが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトの一環で開発を行っている住友電 工、東京電力、前川製作所だ。3社は共同で東京電力旭変電所(横浜市)に約240メートルの超電導ケーブルを設置、2012年10月から電力系統に連系 し、一般家庭に送電する実証実験を行っている。1年程度をかけ性能を確認する計画だ。
同変電所では60万キロワット(約150万世帯分)の電気を送っているが、このうち、20万キロワット(約50万世帯分)を超電導送電に充てる。これにより冷却に使う電力を差し引いても、従来の送電線に比べ電力の損失を約50%低減できる可能性がある。
・究極の「超伝導直流」
一方、超電導直流送電は、既存の交流送電網と接続する際に、電力変換設備が必要になるというデメリットがあるものの、(1)交流損(超電導体に交流電流を
流すと発生する特殊な電力損失)がないため電気抵抗がほぼゼロ、(2)超電導交流送電に比べケーブルの断面積が小さく(芯線が1本)、冷却コストが安い、
(3)太陽光発電など直流発電の多い再生エネルギーと相性がいい――など、メリットが多い。特に、長距離送電でもほとんど電力損失がないことから、「究極
の送電システム」と言える。
日本における研究は、中部大学(愛知県春日井市)がリードしてきた。同大学では200メートルの超電導直流送電の実験設備を作り、10年に運転を開始した。
同大学を巻き込んだ実用化計画が、北海道石狩市の石狩湾新港の周辺地域で始まっている。北海道、石狩市、小樽市などの自治体と、データセンター運営のさくらインターネットが参加し、今夏にも実証実験を開始する。期間は5年以上の予定だ。
データセンターでは、大量のコンピュータと情報通信機器のほか、それらが発する熱に対応するための冷却システムや空調に膨大な電力を使う。よって効率的な 電力消費が極めて重要になってくる。計画は、同地域の太陽光発電施設で作った電気を、約500メートル離れたデータセンターに超電導直流で送るというもの。コンピュータなどのIT機器は直流で使うが、太陽光で発電した電気を直流のまま超電導送電することで、電力変換に伴う損失もない。同大学はデータセンター全体で電力消費を最大40%削減できると試算している。
現在、交流と直流の両方で開発が進んでいる超電導送電だが、将来、どちらか一方に収斂される可能性はあるものの、当面はそれぞれのメリットを活かす形で実用化に向かっていくと考えられる。
また、多くのメリットがある一方で課題もある。最大の課題は、交流、直流ともに超電導ケーブルの冷却コストの削減だ。ケーブルに液体窒素を循環させる際の 電力消費はまだまだ大きい。冷却エネルギーが大きいほど、電力システム全体の省エネ効果が減ることになる。特に長距離送電になるほどコストも増える。この ため、冷却ポンプの効率化やケーブル内への熱侵入の低減は必須だ。
石狩湾新港地域の計画では、省エネ化のため、同地域にある北海道ガスの液化天然ガス(LNG)基地の利用が検討されている。LNGは輸送の際にセ氏マイナ ス162度の低温で液化されるが、このLNG冷熱を利用して液体窒素を作ることで、冷却コスト削減につなげようというものだ。
・スマートグリッドに最適
日本における研究は、中部大学(愛知県春日井市)がリードしてきた。同大学では200メートルの超電導直流送電の実験設備を作り、10年に運転を開始した。
同大学を巻き込んだ実用化計画が、北海道石狩市の石狩湾新港の周辺地域で始まっている。北海道、石狩市、小樽市などの自治体と、データセンター運営のさくらインターネットが参加し、今夏にも実証実験を開始する。期間は5年以上の予定だ。
データセンターでは、大量のコンピュータと情報通信機器のほか、それらが発する熱に対応するための冷却システムや空調に膨大な電力を使う。よって効率的な 電力消費が極めて重要になってくる。計画は、同地域の太陽光発電施設で作った電気を、約500メートル離れたデータセンターに超電導直流で送るというもの。コンピュータなどのIT機器は直流で使うが、太陽光で発電した電気を直流のまま超電導送電することで、電力変換に伴う損失もない。同大学はデータセンター全体で電力消費を最大40%削減できると試算している。
現在、交流と直流の両方で開発が進んでいる超電導送電だが、将来、どちらか一方に収斂される可能性はあるものの、当面はそれぞれのメリットを活かす形で実用化に向かっていくと考えられる。
また、多くのメリットがある一方で課題もある。最大の課題は、交流、直流ともに超電導ケーブルの冷却コストの削減だ。ケーブルに液体窒素を循環させる際の 電力消費はまだまだ大きい。冷却エネルギーが大きいほど、電力システム全体の省エネ効果が減ることになる。特に長距離送電になるほどコストも増える。この ため、冷却ポンプの効率化やケーブル内への熱侵入の低減は必須だ。
石狩湾新港地域の計画では、省エネ化のため、同地域にある北海道ガスの液化天然ガス(LNG)基地の利用が検討されている。LNGは輸送の際にセ氏マイナ ス162度の低温で液化されるが、このLNG冷熱を利用して液体窒素を作ることで、冷却コスト削減につなげようというものだ。
・スマートグリッドに最適
現在、国境をまたいで電力を融通し合う、国際的な大規模グリッド(電力網)構想が、各国で持ち上がっている。その一つが欧州で進められている「デザーテッ ク・プロジェクト」。アフリカの砂漠地帯に太陽光パネルや大型風車を敷設し、再生可能エネルギーで発電した電気を常温の高圧直流ケーブルで欧州、北アフリ カ、中東諸国に送る計画だ。この超長距離のスマートグリッド(次世代送電網)に、超電導直流ケーブルを採用しようとする動きもある。
日本の超電導ケーブルの性能は世界トップレベルだ。今後、実証実験などを通じて冷却システムを含めた超電導送電の完成度を高めれば、世界に先駆けて実用化できる可能性が大きい。
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いろんなメーカー、研究機関が超電導について研究していますね。私が在籍していた研究室の教授も超電導が大好きでした。
超電導EVの開発も進んでいて、液化窒素ステーションなんていうのが点在する日が来るのでしょうか。